環境技術開発等推進費(基礎研究開発課題)

地域生態系の保全・再生に関する合意形成とそれを支えるモニタリング技術の開発

研究開発代表者 矢原徹一(九州大学大学院理学研究院) 初年度の成果

更新

屋久島をモデルとした陸域の生態系管理手法に関する研究

代表者 矢原徹一 九州大学大学院 理学研究院 
分担者 松田裕之 横浜国立大学大学院 環境情報研究院
分担者 立澤史郎 北海道大学大学院 文学研究科 
分担者 常田邦彦 自然環境研究センター 
PD 高橋裕史 北海道環境科学研究センター
DC 横溝裕行 九州大学大学院 理学研究院 巌佐研究室

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屋久島には豊富な固有植物相とともに、ニホンジカの亜種であるヤクシカが生息している。近年、ヤクシカの個体数増加とともに希少植物への食害が顕著になり、生息地の消滅も危惧されている。

 今まで、ニホンジカの個体群管理は農林業被害対策を主目的とし、捕獲による個体数調節と農林地での防鹿柵設置が中心であった。増えすぎた野生生物による希少植物の消失という新たな課題に対して、早急に有効な対策を立てる必要がある。

(1)ヤクシカの食害によって植生が破壊されている現状を調査(矢原・常田ら)
(2)ヤクシカの個体数と分布を調査(立澤・高橋ら)
(3)希少種の絶滅リスクを評価(松田・横溝ら)
(4)希少植物保護のための柵を設置して柵内外の植生を調査(常田・矢原・立澤・高橋ら)
(5)ヤクシカの個体数ならびに食害影響の将来予想を行う数理モデルを開発(松田・横溝ら)
(6)シカと植物の両方を保全するための合意形成の条件を検討
(7)全国各地のシカ食害問題に対処するモデルケースと位置づけ、汎用性の高い生態系管理計画を立案

植物の絶滅リスク評価法は、松田が開発し、矢原らが環境省植物レッドデータブック編集に活用したもので、必要に応じて改良を加える.シカ保護管理計画の考え方は,エゾシカ保護管理計画に適用されている順応的管理の手法を、さらに改良する。

参考文献

絶滅危惧植物のリスク評価について

ニホンジカの順応的管理について (エゾシカ保護管理計画について)

合意形成について

生態系管理について

link(下記は本プロジェクトと直接関係ないものも含まれています)


2年目までの成果(プロジェクト全体に関わる成果はこちら

6月26日(土) 午後7時より 地元での市民集会 (宮之浦区公民館)[A72] Uno H, Kaji K, Saitoh T, Matsuda H, Hirakawa H, Yamamura K, Tamada K (2006) Evaluation of relative density indices for sika deer in eastern Hokkaido, Japan. Ecol Res in press:
[A61] Kaji K, Okada H, Yamanaka M, Matsuda H, Yabe T (2005) Irruption of a colonizing sika deer population. J. Wildl Managem 68: 889-899.
[D123] 松田裕之 (2004) 哺乳類保護管理における個体数推定の精度とフィードバック管理の留意点について. 哺乳類科学. 44: 77-80
[D142] 松田裕之 (2005) 知床世界遺産登録:その自然を守るための三つの課題. バイオニクス. 8(9):16-17.
[D146] 松田裕之 (2005) 2005年度日本生態学会関東地区会共催公開セミナー 個体群管理から生態系管理への課題と展望. 日本生態学会関東地区会報. 54:1-5.
[E26]湯本貴和・松田裕之編著(2006)『世界遺産をシカが喰う-シカと森の生態学』文一総合出版

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