日本生態学会　第27回公開講演会　（公式サイト）(チラシ※掲示いただければ幸いです)

3月21日関連行事　English　講演要旨　更新履歴

人と自然の古くて新しい関係

原生自然だけでなく、人を含めた自然を守ることが共通認識となりつつあります。都市の自然も重視されるようになりました。一方、人口縮小時代において、鳥獣被害は深刻化し、人と野生動物の「新たな関係」を迫られています。国際社会で何が起きているのか、生物多様性条約、野生動物管理、持続可能な開発のための教育（ESD)の最前線で活動する専門家の声を聴き、参加者の皆さんと一緒に「人と自然の関係」を見つめ直す機会となればと思います。
趣旨説明案ver.1(8分間動画, pdf)　会議録（工事中＝PWあり)　

多くの人(対面約120名、遠隔約274名）に参加いただき、ご質問もいただきました。ありがとうございました。

日時: 2024年3月20日(水)　13：00−15：30　
場所：横浜国立大学経済学部講義棟2号館(ハイブリッド)地図　大会会場案内　大学学内地図（N4-3）　

講演者(敬称略）
古田尚也(大正大学より)	須藤明子	倉田薫子

プログラム（敬称略）

• 13:00 松田裕之(横浜国立大学): 趣旨説明
• 13:05 宇野裕之(東京農工大学　野生動物管理教育研究センター)
  「鳥獣害管理の担い手を育てる」
• 13:10 八代田千鶴（(国研)森林機構　森林総合研究所関西支所／「野生生物と社会」学会)
  「「野生生物と社会」学会の目指す新たな関係」
  
• 13:15 朱宮丈晴（日本自然保護協会、日本MAB計画支援委員会) 「日本版ネーチャーポジティブアプローチをユネスコエコパークで展開する」
  日本自然保護協会が、みなかみユネスコエコパークで進めているネーチャーポジティブの取り組みやJBRNへの展開を簡単に紹介します。
  
• 13:20 古田尚也（大正大学、IUCN日本リエゾンオフィス）
  「自然保護区以外の普通の場所の自然保護」
• 13:40 質疑応答・コメント
  橋本禅(東京大学)

  コメンテータ(敬称略）
  橋本禅	村田浩一	中尾文子 （内閣官房サイトより）	安田昌則 (大牟田市サイトより)

• 13:50 須藤明子（㈱イーグレット・オフィス、日本イヌワシ研究会）
  「人と野生動物の共存に挑む」
• 14:10 質疑応答・コメント
  中尾文子(環境省)
  村田浩一（ズーラシア園長、公益社団法人日本動物園水族館協会会長)「そもそも人間と野生動物は共存できるのか？」
• 14:20: 倉田薫子(横浜国立大学)
  「高校生から始める生物多様性」
• 14:40 質疑応答・コメント
  安田昌則（大牟田市教育委員会前教育長，日本ユネスコ協会連盟理事）
  
• 14:50 総合討論

  挨拶・司会(敬称略)
  宇野裕之	八代田千鶴 （森林総研より）	朱宮丈晴 （NACSJより）	北島薫 (京都大学より)	松田裕之

• 15:25 北島薫(京都大学、日本生態学会長)
  「日本生態学会の取り組み」
  
• 15:30 閉会
• 学内散策「ときわの森めぐり」（横浜国立大学総合学術高等研究院生物圏ユニット with 日揮）
  

企画　日本生態学会横浜大会実行委員会
司会　松田裕之(横浜国立大学)


主催：日本生態学会
共催：「野生生物と社会」学会(予定)
後援：日本MAB計画支援委員会、横浜国立大学総合学術高等研究院生物圏研究ユニット
　　　
 

要旨（10/31まで）

• 13:05 宇野裕之(東京農工大学　野生動物管理教育研究センター)
  「鳥獣害管理の担い手を育てる」
  地域における課題解決のため、野生動物管理に関する幅広い知識と計画立案・モニタリング・評価・合意形成を担うことができる人材の育成を目的として、省庁や複数の大学と連携して実施している当センターの教育プログラムを紹介します
  

• 13:10 八代田千鶴（(国研)森林機構　森林総合研究所関西支所／「野生生物と社会」学会)
  「「野生生物と社会」学会の目指す新たな関係」
  「野生生物と社会」学会は、野生生物と人とのよりよい関係づくりに取り組む多様な人々が集うプラットフォームとして活動しています。保護だけでも管理だけでもない、新たな関係を目指す当学会の活動をご紹介します。
  

• 13:15 朱宮丈晴（日本自然保護協会、日本MAB計画支援委員会)
  「日本版ネーチャーポジティブアプローチをユネスコエコパークで展開する」
  

• 13:20 古田尚哉（大正大学、IUCN日本リエゾンオフィス）
  「自然保護区以外の普通の場所の自然保護」
  生物多様性条約のもとでの新たな世界目標に関して， 2030 年までに陸域と海域の30％を保護・保全するという目標（いわゆる30by30）が議論されている。これに伴い，わが国でもOECM に関する国内制度である「自然共生サイト」が開始され，企業などの関心も急速に高まっている。30by30 目標の達成によって，防災・減災への寄与などのNbS 効果も期待される。本稿は，こうした内外の情勢の中で，30by30 目標の基礎なる保護地域の歴史的な流れについて確認し，30by30 実現のカギを握ると考えられるOECM 誕生の背景や今後の実装に向けての課題について議論を試みる。
  

• 13:40 質疑応答・コメント
  橋本禅(東京大学)
  

• 13:50 須藤明子（㈱イーグレット・オフィス、日本イヌワシ研究会）
  「人と野生動物の共存に挑む」
  野生動物管理は、人と野生動物が共に暮らせる自然環境を保全するため苦肉の策である。奥山の自然を象徴する絶滅危惧種のイヌワシ、個体数が増加傾向にあり漁業被害や生活被害を起こすカワウでは、その向き合い方は異なる。
  日本国内の森林の42%が人工林であり、イヌワシの食物不足を生じさせ、雛の巣立ち率は低下の一途をたどっている。さらに、カーボンニュートラル2050の名の下、奥山での大規模風力発電の乱立が、イヌワシにとどめをさそうとしている。
  カワウ激増に対処するため、2004年から2019年に実施された滋賀県の「プロジェクトKSS」では、精密狙撃による科学的計画的捕獲によって一定の成功を収め、2015年の鳥獣保護管理法改正時に導入された捕獲専門家制度のモデルとなった。一方、国土強靭化計画における流域治水が、カワウ管理を困難にしている。
  生物多様性保全を目指して、人と野生動物の軋轢を軽減するために奔走する野生動物管理の現場について紹介する。
  

• 14:10 質疑応答・コメント
  中尾文子(環境省)
  
• 村田浩一（ズーラシア園長)「そもそも人間と野生動物は共存できるのか？」
  人間と野生動物の共存や共生については美辞麗句的に語られる場面も多々あるが、実際には多くの課題と複雑な問題を抱えている。都市化や農地化などに伴う開発により、野生動物の生息地が減少し彼らの生存が脅かされているのは衆知の事実だ。人為による環境変化により野生動物たちが本来の生息地を失ったがために、人間の生活圏にクマやシカやイノシシなどが侵入しているのは、昨今の人間と野生生物との衝突（Human-Wildlife Conflict）による被害増大が証明しているところだ。
  人間と野生動物とのインターフェイスは、例えば農地や家屋との接近、食物残渣への誘因などほとんどが人間活動の影響によるものである。これらにより、野生動物の行動や生理的ストレスによる変容を引き起こしている。さらに、野生動物と人間との間で病気の感染リスクも増大しているのは、SIRSやCOVID-19などの人獣共通感染症によるパンデミックで痛感したことだろう。
  気候変動（気候危機）も野生動物との共存を脅かす要因となっている。それによる生息環境の悪化や食物連鎖の変動が、野生動物たちの行動や生態系に大きな影響を与えているのは、アフリカや南米だけの話ではなく、我々の足下にもある。これらの要素が組み合わさると、人間と野生動物の共存はますます難しくなると予想される。
  もしも本気で野生動物との共存を考えるのであれば、持続可能な都市計画や農地利用、経済や政治や行政の再考による野生動物保護の取り組みが必要だ。彼らとの調和を図るには、環境教育、調査研究、適切な管理も不可欠であるのは違いない。
  野生動物を保全するのは人類が消滅するのが手っ取り早い。人類が生き延びることを求めるのであれば、上から目線の野生動物や地球環境の保全を思案するのが必須であることを知るべきである。
  

• 14:20: 倉田薫子(横浜国立大学)
  「高校生から始める生物多様性」
  現行の学習指導要領から，持続可能な社会の創り手を育む教育”ESD”が導入されました。子どもたちは今どのように生物多様性を捉えているのか？ーESDの一環として生物多様性の認知向上を図る取組について紹介します。
  

• 14:40 質疑応答・コメント
  安田昌則（大牟田市教育委員会前教育長，日本ユネスコ協会連盟理事）
  
  
• 横浜国立大学総合学術高等研究院生物圏ユニット with 日揮
  「ときわの森めぐり」本学キャンパスの散策をお楽しみください。地図（この地図にある4つのPointに行くと、そこに掲示したQRコードから説明を読むことができます。2024年3月作成）
  故宮脇昭名誉教授の「密植混植方式」で植えられた横国大の森は，40年経った今どのように成長したのか。どのような課題を持っているのか。実際に学内散策を通じて，ネイチャーポジティブを考えます。
  

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Public Lectures for the 27th Annual Meeting of the Ecological Society of Japan

A New and Traditional Relationship between People and Nature

There is a growing consensus that we should not only protect pristine natural environments but also conserve the nature that encompasses human communities. The importance of nature within urban areas is also on the upswing. In an era of declining human populations, the human-wildlife conflict is becoming increasingly severe, necessitating a "new deal for nature and people". We aim to create an opportunity for participants to engage with experts actively involved in the Convention on Biological Diversity, wildlife management, and education for sustainable development (ESD). Together, we will reevaluate the "coexistence between people and nature." (interim translation by H.M.)　meeting recording (under construction with PW)

Date: Wednesday, March 20, 2024 13:00-15:30
Place: Yokohama National University, Faculty of Economics, Lecture Hall No. 2 (Hybrid)
Admission free　
Language: Japanese
In-person: 600 people on a first-come, first-served basis
On-line: 1000 people on a first-come-first-served basis

Program: (interim translation by H.M.)

• 13:00 Hiroyuki Matsuda (Yokohama National University): Introduction
• 13:05 Hiroyuki Uno (Tokyo University of Agriculture and Technology) Educating leaders in managing human-wildlife conflict
• 13:10 -13:10 Chizuru Yayota (Forestry and Forest Products Research Institute Kansai Research Center; Association of Wildlife and Human Society) New Relationships Aimed for by the Wildlife and Human Society"
• 13:15 -13:15 Takeharu Shumiya (The Nature Conservation Society of Japan; Japanese Coordinating Committee for MAB) Developing a Japanese version of the Nature Positive Approach in Biosphere Reserves
• 13:20 Naoya Furuta (Taisho University, IUCN Japan Liaison Office) Nature Conservation in Ordinary Places other than Protected Areas (TBC)
• 13:40 Q&A and comments by
  Shizuka Hashimoto (The University of Tokyo)
• 13:50 Akiko Sudo (Eaglet Office Inc., ：The Society for Research of the Golden Eagle) The Challenge of Coexistence between Humans and Wildlife
• 14:10 Q&A and comments by
  Fumiko Nakao (Ministry of the Environment, Japan),
  Koichi Murata (Director, Yokohama Zoological Gardens ZOORASIA) Can humans and wildlife coexist?
• 14:20: Kaoruko Kurata (Yokohama National University) Biodiversity Starting with High School Students
• 14:40 Q&A and comments by
• Masanori Yasuda (Former Superintendent, Omuta City Board of Education; Board Member of National Federation of UNESCO Associations in JAPAN)
• 14:50 General Discussion　
• 15:25 Kaoru Kitajima (Kyoto University, President of Ecological Society of Japan) Initiatives of the Ecological Society of Japan
• 15:30 Closing remarks

Programmed by the Yokohama Congress Organizing Committee of the 71st Annual Meeting of ESJ,
Moderator: Hiroyuki Matsuda (Yokohama National University)
Organized by Ecological Society of Japan;
Co-organized by the Wildlife-Human Society
Supported by: Japan MAB Coordinating Committee for MAB; Biosphere Research Unit, Institute for Multidisciplinary Sciences, Yokohama National University

来所方法　大会会場地図　詳細はPDF参照。　Access to the venue. See the PDF for details including time

関連行事

総合学術高等研究院　生物文化多様性ラボ　セミナー
IMS Biocultural Diversity Lab Seminar

日時 : 第10回3月21日 (木)　　10時より
実施形態 :教育学部7号館203（オンラインzoom併用）
話題提供：安田昌則先生（大牟田市教育委員会前教育長・日本ユネスコ協会連盟理事）

• It was held with Mr. Masanori Yasuda, former Superintendent of Omuta City Board of Education and Director of the Japan Federation of UNESCO Associations

このサイトの問い合わせは　松田裕之研究室（matsuda@ynu.ac.jp)　まで

更新履歴

• 4/26：参加者概数記載。会議録更新
• 4/8： 「ときわの森めぐり」とその地図のリンク先変更
• 4/1: 会議録とその英語をついか（PWつき）
• 3/18：　会場案内を添付。会場案内詳細PDFにリンク
• 3/15：ときわの森めぐりを更新。講演会場地図、Streetview、Zoom接続先 にリンク
• 3/10: 公式サイトリンク先を修正
• 3/5: 説明趣旨案のpdfリンク先を訂正
• 2024/3/3; 登壇者向け趣旨説明案（8分間動画,pdf）へのリンクを追加。アンケート欄を加筆。
• 12/20:チラシにリンク
• 12/11: 倉田氏の要旨を追加。プログラムの各講演から要旨にリンク 。ロゴ（IMS、UNESCO Chair、30by30アライアンス、YNU EBRoSS、生態学会)を追加
• 11/21：八代田氏の要旨追加
• 11/7：顔写真追加。講演要旨(朱宮氏)追加
• 10/25:所属英語表記修正
• 10/23：コメント者名追記
• 10/21:タイトル英訳修正
• 10/19: 所属英語修正
• 2023/10/18　サイト設置